#5 序章の4: 具体例で見る「結果論の落とし穴」

ケース① 新規事業立ち上げプロジェクト

プロジェクト概要:ITベンチャーが新サービスAを半年で市場投入し、顧客の定着率が伸び悩んで撤退したケース

落とし穴1:企画段階での不安材料を軽視し、失敗後に「ほらね」と結論

 ・市場調査で指摘された顧客ニーズとのズレを「大手も同じ課題を抱えている」と楽観視

 ・失敗後には声高に「最初から懸念点が多かった」と主張し、自らの過信を正当化

落とし穴2:本来必要だった小規模テストを後回しにした背景

 ・開発リソースの制約を理由に、いきなりフル機能でリリース

 ・PoC(概念実証)を省略したため、致命的なUX課題を市場前に把握できず

教訓:

 小さく始めて学ぶマインドセットが欠如すると、失敗の原因分析も表層的になる。逆算思考でリスクの大きい部分を先に検証し、学びを設計することが成功への第一歩だ。

ケース② 投資判断の後悔

事例概要:個人投資家が銘柄Bを保有せず、株価が急上昇した後に「買うべきだった」と嘆き、さらに急落局面では「絶対に売るな」とパニック売りを回避し損失を拡大したケース

落とし穴1:株価上昇後に「買うべきだった」と嘆く一方、当時の情報と感情を忘却

 ・決算直前のネガティブコメントを重視しすぎ、当時の不確実性を見落とす

 ・上昇後の後知恵バイアスで「見えていたはず」と自責を強化

落とし穴2:大暴落後には「絶対に売るな」と叫ぶリスク

 ・暴落局面での強い確信が、損切りルールの適用を躊躇させる

 ・含み損が膨らむほど心理的・資金的コストが増大

教訓:

 投資判断には事前シナリオとルールベースの運用が不可欠だ。期待される上昇・下落シナリオをあらかじめ定め、感情に流されない仕組みを構築することで、後悔とパニックを防げる。

まとめ

どちらのケースも、結果を知ってから語る“後付けの正しさ”に依存したがゆえに、本来得られるはずの学びを逃している。次章では、こうした結果論の罠を封じ、未来を主体的に設計する逆算思考とデータ活用の手法を詳解する。

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